ポスティングのデザインで写真やイラストの引用はあり?
ポスティング用チラシにおいて、写真やイラスト、地図を盛り込んだデザインは必須であり、画像無しのチラシは、見る人の関心をひきません。何気なく使っている画像類に関して、貴社ではきちんと使用許諾を得ているでしょうか?貴社のチラシは著作権を侵害してはいませんか?今回はポスティング広告の画像使用、著作権について解説します。
写真やイラストの引用はあり?
チラシの作成において、他者が作成した写真やイラストを引用することは可能です。ただし「商用利用可能」と明記されている著作物に限ります。一般に公開されている画像、写真、イラストはほか者が作ったものであり、すべて著作権が存在するのです。
画像を作成した人は著作者であり、これを使用する人は、著作者の権利を侵害してはなりません。著作権は大きく2つに分けられます。1つは「著作人格権」と呼ばれ、画像を作った人の人格を守る権利です。難しい表現ですが、簡単にいうと「作った人の意志に反することをしてはいけない」という意味です。
もう一つは「著作財産権」と呼ばれます。画像等著作物の財産的な権利を守り、許可を得ない複製、頒布を禁止し、著作者の利益を守ります。こちらも簡単に表現すると「人の作った物をたくさん複製して、利益を得てはだめ」ということです。
ポスティングのデザインで、画像使用する際は、著作財産権をとくに重要視し、必要であれば著作者に対し「使用料」を支払いましょう。公開、配布されている画像などで「著作権フリー」と記載された物は、著作者の権利保護期間が終了した、もしくは著作者が著作権を放棄しています。
画像に関して著作者は権利を持たないため、チラシ作成者が使える素材です。チラシ作成に役立つ画像を探していると「商用利用可」「商用利用不可」というワードを目にするでしょう。商用利用とは、著作物によって利益を得ることを指します。「商用利用可」と書かれた画像であれば、チラシに引用可能です。
引用できないものとは?
チラシ作成において、引用できるもの、引用できないものを正確に把握しておく必要があります。著作権を侵害するような画像の使用法をしてしまうと、著作者は使用者を告訴し、使用者は処罰の対象となるのです。著作権の侵害は10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金となります。企業など法人による著作権の侵害は、3億円以下の罰金が科せられると記憶しておきましょう。
著作権が付いているものすべて
著作者が権利を放棄したもの以外は、チラシ作成に引用できません。チラシ作成は商用に該当するので、著作権フリーとなっている画像、写真やイラストに関しても、商用不可とされているものは引用できないのです。インターネット上には、著作者が不明確なもの、使用許諾の記載がない画像等が多く存在します。
著作権に関して記載がないから、といってフリー画像とは限りません。すべての画像、イラストや写真は誰かの著作物なのです。万が一訴訟に至った場合のリスクを考えると「著作権フリー」「商用利用可」とはっきり明記された画像以外は使わない方がよいでしょう。
地図サイト
ポスティング用チラシには会社、店舗の位置情報が必要です。多くの企業が地図をチラシに載せています。しかしチラシの地図挿入には、大きな落とし穴があるのです。地図を使ったことによる訴訟事件をご存知でしょうか?令和5年27日、住宅地図の著作権を巡って、ポスティング業者とある住宅地図製作会社が争った裁判です。
裁判の争点は「地図は著作物であるか」でした。公共性の高い住宅地図を被告人である業者は、住宅地図を縮小、一部加工して、ポスティング業務に利用し、配布します。原告は地図の著作権を主張し、業者に対して著作権の侵害を訴えました。
結果として使用した地図は、原告の著作権が認められ、損害賠償3,000万円の支払いが命じられます。この例からわかるように、公共性の高い地図にあっても、基本的に著作権が認められるのです。
最近のマップサイトは精度が高く、印刷機能がついているため、誰でも簡単に利用できます。しかし使用許諾によると、商用目的の印刷は禁止です。地図サイトで公開されている地図画像は、ポスティング用チラシに引用できません。
フリー画像や素材を使う時の注意点
ネット上でも紙媒体においても、画像を自社のポスティング用チラシに使用する際は、著作権の有無を充分確認しましょう。フリー画像であっても改変、加工などに厳しい制限を設けている物がほとんどです。フリー画像を使用する際は、記載された使用方法よく読み、使用許諾で認められた範囲で、使用してください。
まとめ
ポスティング用チラシのデザインにおいて、ほか者が作成した画像、写真・イラストは使用できます。ただし、著作権フリー、著作者が著作権を放棄した、もしくは著作権の期限が過ぎたものに限られます。すべての著作物には著作権が存在し、ネット画像であろうとも、むやみにこれを使用してはなりません。
著作物に対して、一定の改変、加工を認めていても、商用には利用できないものが多くあります。画像の使用方法、使用許諾をよく読み、許される範囲で利用してください。